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2018.02.22

【デジタルサイネージ×AIでクリエイティブはどう変わる?】 シリコンバレー最新トレンドインタビュー後編

【デジタルサイネージ×AIでクリエイティブはどう変わる?】 シリコンバレー最新トレンドインタビュー後編

前編では、デジタルサイネージの可能性と現状をご紹介しました。AIなど、テクノロジーの目覚ましい進化により、モニターに表示されるコンテンツを制作するクリエイターにもドラスティックな変化が求められています。このような変化に対して、クリエイターはどう対処していけばよいのでしょうか。前編に続き、シリコンバレーのソフトウェア会社「Sophatar」CEOのBart DeCanne氏に話を伺いました。

シリコンバレーをベースに最先端のデジタルサイネージ・ソフトウェアを開発する企業「Sophatar」CEOのBart DeCanne氏は「クリエイターが新しい媒体に対応するには、マインドセットの変化が必要である」と語ります。

では、具体的にどのようなマインドセットの変化が求められているのでしょうか。

 

求められるのは“コンテンツが固定されていないデザイン”


(Sophatar社内にあったデジタルサイネージの一例。データベースに搭載されたコンテンツを適宜表示するシステム)

紙媒体や静止画などのクリエイティブを制作する際は、前もって書かれた文章やコンテンツをもとに情報を整理し、レイアウトするのがデザイナーの役割でした。
しかし、AIが自動的に制作したコンテンツは、「時期」や「情報を表示する相手」により表示される内容が都度変わります。デザイナーは、内容の違ったコンテンツをフレキシブルにレイアウトできる「テンプレート」を制作できなくてはいけません。

例えば、デジタルサイネージを使用したレストランのメニュー。季節ごと、またはその日ごとに変わるスペシャルを入力すれば、メニューが自動的にアップデートされる。これは便利に聞こえますが、メニュー名の長さが変わってサインに入り切らない時はどうするのでしょう?メニューアイテムの増減により入りきらない、または余白が大きく残ってしまうといった可能性もあります。
表示内容の文字数を制限する、もしくは文字数によりフォントサイズを変化させるなど、どのようにコンテンツをコントロールするかの判断力も必要になってきます。

 

よりユーザーに寄り添った気持ちになって考えることが大切

従来のデザインにおいても、新米デザイナーはディレクターや先輩デザイナーから口酸っぱく「ユーザーに寄り添って」「ユーザーの気持ちを考えて」ということを指摘され、教育されてきていると思います。
Webというユーザーのアクティブな動きを要求する媒体の出現から、さらにこの傾向は強くなっていますが、あくまでもこれはユーザーの能動的な動きに対してのリアクションという側面がまだまだ強いとも言えます。

デジタルサイネージは、従来のポスターのような静止的な広告面もあれば、ユーザーが自分から動くタッチスクリーンなどの機能ももちろんありますし、AIによる個々人に合わせたカスタムコンテンツの表示といった「新しい体験」もある、よりインタラクティブな媒体です。

近年、急速に増加しているUX、UIデザイナーの仕事はWebブラウザの世界だけに限られたものではありません。
次に求められているアクションは何か、どのボタンを押すのか、何を入力すれば良いのかといったことはもちろん、どのようにしてアクションを起こさせるかなど、ユーザーをスムーズに導くことが、デジタルサイネージのデザインでも重要なポイントになります。

 

デザインを変更する潔さを持つ

AIを使用したデジタルサイネージは、データを集めて解析することも得意とします。
そこで頻繁に行われるのが、ABテスト。2種類の違ったデザインまたはコピーを使用してテストを行い、どちらがいい成果を上げたかを比べ、結果に基づきデザインを変更することが日常的に行われています。Web運用のご経験がある方であればイメージが付きやすいと思います。

デザインの良し悪しももちろんですが、自分のデザインに固執せず、望んだ結果が得られなかった場合には潔くデザインを変更できることも、デザイナーにとって大切なマインドセットであるといえるでしょう。

 

コミュニケーション能力を磨く

デジタルサイネージなどのテクノロジーを駆使した媒体でのデザイナーの役割は、全体のほんの一部にすぎません。
コピーライター、マーケター、プログラマー、エンジニアなど、プロジェクトに関わる多くの人とコミュニケーションを取る必要があります。そのためには、それぞれの分野の専門家と対話できるよう、デザインだけでなく、幅広い知識を常に身に付けていく姿勢が必要となるでしょう。

一人で全ての専門家になることは不可能でも、ある程度の基礎知識があるだけで、各分野の専門家とのコミュニケーションがお互いとても楽になります。

デザインに置き換えても同じです。
皆が皆、デザインの専門家にはなれません。でも、ある程度の基礎知識があるメンバーがそろっていれば仕事はグッとよくなります。例えばデザインも意識したプランナーが立案した提案であれば、デザイナーもよりその高度なパフォーマンスを発揮できるでしょう。

デジタルサイネージ、あるいはAIは、非常に厄介な分野とも言えます。
どのようにプログラミングされているかをすべて理解するのは非常に困難ですが、その基礎的な部分を把握しているだけで、コミュニケーションは劇的に変わるはずです。

 

変化の波を捉え、学び続ける姿勢を

AIやバーチャルリアリティー、Webテクノロジーは日々進化し続けています。その変化の勢いは一定ではないものの、今、未来にむけてどんどんスピードを上げています。

それに伴い、クリエイターの仕事、役割も変わり続けます。何よりも大切なのは、常に変化するテクノロジーに好奇心を持ち、生涯新しいことを学び続ける努力。今回のシリコンバレー最新トレンドインタビューも、学び続けることのひとつのモチベーションになれば幸いです。

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