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2019.09.10

人事必読!! 採用時に頭に入れておきたい「求人票」と「労働条件通知書」の相違の注意点

人事必読!! 採用時に頭に入れておきたい「求人票」と「労働条件通知書」の相違の注意点

平成30年1月より「職業安定法」の改正が施行され、求人募集した企業が「求人内容」と「実際の労働条件」に相違がある場合、雇用契約前に労働条件の変更事項がわかるよう明示することが義務付けられました。労働条件が募集内容と異なる時、できるだけ早い段階で求職者に説明し、変更された労働条件での雇用契約を締結するかを考える時間を与えなければなりません。

今回は、この「求人と雇用契約時における労働条件の差異」について、企業が気をつけるべきポイントを解説します。

「職業安定法」と改正の背景とは?

もともと「職業安定法」とは、国民の労働権利(労働する活動)を保障するために定められた法律です。「職安法」とも呼ばれ、労働者の募集・就業指導・職業紹介・労働者供給などについて規定されています。

東京労働局によると、今回の改定背景として「社会経済の変化や事業の多様化が進む中、職業紹介事業や募集情報、提供事業者において、求職者が不利益を被るなどの不適切な事案に対応することはもとより、求職と求人のより適切で円滑なマッチングを進めることも求められる」とあります。

現在、求職のサービスが多様化する中、求職者が不利な立場にならないように公正な情報を適切に提供することが求められています。求人詐欺なども起こる昨今、募集企業自体も責任を持った対応が必要であるとして、上記の法改正に至った経緯があります。

虚偽求人への罰則はもちろんですが、今回の改正では指導監督の範囲が拡大され、変更内容明示が適切でないと、募集企業自身が行政の指導監督(行政指導や改善命令・勧告・企業名公表)や罰則などの対象になる場合もあります。求人票や求人広告を作成するときは、労働条件を正確に記載する必要があります。

 

求人の際に押さえておくべき改正点

具体的には、求人の際に記載すべき労働条件の「時期」・「項目」・「方法」に関するルールが改正されているので、注意が必要となります。内容としては次のとおりです。
 

(1)労働条件の明示時期
求職者に労働条件を明示するタイミングに「変更・追加・削除事項が生じた時」が追加されました。

1.新規の労働者募集に伴い、募集要項や求人票を公開する時
2.【今回の追加事項】すでに公開している労働条件に変更・追加・削除事項が生じた時
3.労働契約締結の時

もちろん、当初明示した労働条件に変更が生じることは望ましくありません。
しかしながら、採用活動の過程でやむを得ず労働条件を変更する可能性がある場合、事前にその旨を明示、変更後は速やかにその内容を応募者へ明示することが義務となりました。加えて応募者からの求めがあれば、労働条件が変更されるに至った理由について、会社側はそれを説明しなければなりません。

(2)求人にあたり、求職者に明示が必要な労働条件の追加項目
今回の改正に伴い、新たに明示が必要となったのは下記の5項目です。

1.試用期間の有無・期間
2.裁量労働制を採用している場合の「みなし労働時間」
3.固定残業代を支給している場合の「金額」、「手当が時間外労働何時間相当のものか」、「○時間を超える時間外労働分の割増賃金を追加で支給する旨」の明示
4.募集者の氏名又は名称
5.派遣労働者として雇用する場合、雇用形態を「派遣労働者」と明示

固定残業代を採用している場合、これまで、固定残業代を基本給に含める形で記載していた会社もあるのではないでしょうか?
今後は「基本給」と「手当・時間数」を区別し、なおかつ固定残業代の範囲を超える時間外労働に関しては、追加で割増賃金が支給される旨を明記しましょう。

(3)労働条件に変更があった際の明示方法
求人情報にやむを得ず変更が生じた場合には、下記方法により「変更箇所」はどこか、変更前後でどのように変わったかを明らかにする必要があります。

1.変更前後の労働条件を対照できる形で、書面を応募者に交付
2.労働条件通知書等の変更部分にアンダーライン・マーカーを引いて応募者に交付
3.労働条件通知書等の変更部分について、別途注意書きを添付して応募者に交付
 

その他の詳細は厚生労働省のホームページに記載されていますので、ご参照ください。

出典:厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ~労働者の募集や求人申込みの制度が変わります」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000171017_1.pdf
 


 

求人トラブルを防ぐポイント

求人を見て応募したが、実際は求人広告の募集要項と実際の労働条件が違うという求人トラブルが多発しています。
特に多いのが「給料が聞いていたものより低かった」「勤務時間が長い」「完全週休2日と書いてあったが、隔週で土曜出勤だった」「正社員でなく契約社員にされた」「知らないうちに残業手当が給料に含まれていた」などです。

企業としてみると、ハローワークに求人票を出したり、就職・転職サイトに求人広告を載せるのは、そこで掲げられた労働条件はあくまでも見込みということがほとんどだと思います。そのため、求人広告を見て応募したからといって、必ずしもその内容で労働契約が成立するわけではありません。選考の過程などを考慮して諸条件を決めることになるでしょう。
そして、その際、契約の当事者たる会社と労働者との間で特段の合意があれば、求人内容とは異なる労働条件で雇い入れることが可能です。

上記、一般的な事項なのですが、ただし、これはあくまで結果的に条件変更を「合意」したという話であって、最初から違う条件での雇い入れを意図し、求人を出すのは悪質であり問題があります。

「合意があったかどうか」が最大のポイントですが、さらに、トラブルを未然に防止する観点から会社は労働者に対し「変更前後の内容をわかりやすく明記」した「書面を交付」することもポイントです。「労働条件通知書」を交付せずに、電話連絡や口頭で伝えるだけでは不十分で注意が必要です。

仮に、求人内容よりも不利な条件で労働者を雇い入れた後、労働条件について言った、言わないの争いが生じた場合、最初に労働条件通知書を交付していなければ会社の立場は厳しいものになると考えられます。

労働契約自体は口頭だけでも成立はしますが、求人内容と異なる条件で合意したことについて会社は証明ができません。募集した際の求人票、または求人広告が残っていれば、その記載内容が労働条件になると判断された裁判例もあります。求人内容と異なる労働条件で採用する際には、労働条件通知書の交付は特に重要です。
 


 

まとめ

特に、クリエイティブ業界は自由な裁量と成果を重視しているところも多く、賃金や仕事内容など、労働条件の明確化はトラブルを発生させないためにも留意する必要があると思います。
採用を行う企業にとっては、「知らなかった」ではすまない項目なので、求人から労働契約の締結までを行う流れの中で、求職者に対して「労働条件を書面で正確に伝える」努力をするよう心掛けなければなりません。

 

執筆
社会保険労務士法人ユニヴィス 社会保険労務士 池田久輝

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