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2017.02.28

今からできる!助成金に対応するための就業規則づくりとは(後編)

今からできる!助成金に対応するための就業規則づくりとは(後編)

今回は就業規則づくりにまつわる話の続き、つまり後編です。就業規則を運営しやすいよう、なおかつ助成制度に対応するための「別規程」の利用方法と、実際に助成金に対応するために規則を整備した例について紹介していきます。
前編では就業規則にまつわる国の決まり(法律)と、実際に規則を作る際に盛り込まなければならない内容について解説しました。

別規程をうまく活用する!

就業規則は、会社側が労働者側に会社の決まりごとを伝えるためのものです。
いわば、「会社のルールブック」と言っても過言ではありません。

盛り込まなければならない会社のルールとしては、前回お話したように重要性に応じて、
「必ず記載の必要な絶対的必要記載事項」
「ルールがある場合は記載が必要な相対的必要記載事項」
「記載が自由である任意的記載事項」

の3種類に分類されています。

しかし、想像してみてください。
働く時間や休憩時間、休日、給料について、定年について、各種福利厚生について・・・
これらすべてを一つの就業規則におさめようとすると、規則自体がかなりのボリュームになってしまいます。
おそらく、作成するだけでも相当な労力を要することでしょう。日々の業務で忙しい社長が手をつけるには、少々キツイかもしれません。

そして、多様化する雇用情勢や社会保障体制を強化するため、国では毎年のように法改正を行っています。当然、改正で必須とされた項目は、就業規則にも反映させなければなりません。しかし、ボリューミーな就業規則の中から、どの部分を・どのようにして改正案に対応させなければならないのか、探すだけでも大変な作業となるでしょう。

このような場合に活用するのが「別規程」です。
別規程とは、本体である就業規則の内容をより細かく定めたものです。

別規程の内容に特別な定めはありません。
たとえば、正社員とパートタイマーで雇用形態が異なる場合に設ける「パートタイマー規程」や、給料についてより細かく定めた「賃金規程」、退職金について盛り込んだ「退職手当規程」などが挙げられます。

つまり、就業規則本体には必要最低限の項目だけ定め、会社の内容に合わせたさまざまな細かいルールはすべて別規程にしてしまえば良いのです。
方法としては簡単です。就業規則内の別規程を設けたい分野では、「詳細は別規程を適用する」という一文を定めることで足ります。

 

別規程を活用するメリット

作るのも大変、メンテナンスも大変では、就業規則の作成に躊躇してしまうのも、無理はありません。
このような時には別規程を活用すれば、規則の整理とメンテナンスの手間を省くことが可能となり、結果的に時短へとつながるわけです。
そして、別規程は助成制度を利用する場合に非常に有効な存在でもあります。

わかりやすく説明するため「介護支援取組助成金」という助成制度を取り上げてみましょう。

介護支援取組助成金とは、「両立支援等助成金制度」という、仕事とプライベートの両立支援のために定められた制度の中の一つで、昨今、社会問題化している介護離職を防ぐことを目的としています。
仕事と介護の両立をテーマにしたアンケートや社内研修の実施、不安を抱える労働者に対する相談窓口を設けるなどの方法を取ることで、60万円の助成を受けることができます。

金額だけを見ると魅力的ですが、助成制度を受けるのは大変です。ラクしてお金はもらえません。
この助成金が欲しい!と思った場合、会社側の努力が必要不可欠となります。それに加え、そもそも制度を利用するための要件をクリアしている必要があります。

その要件の一つが、就業規則の整備です。
介護支援取組助成金の場合は、要件として次のような一文が定められています。

『介護休業関係制度について、労働協約または就業規則に規定している』

これは、具体的にいえば、介護休業と介護休暇についての定めを就業規則で行いなさい、ということです。
たとえば、介護休業や介護休暇の対象となる労働者、対象外となる労働者、取得できる日数や取得回数、取得するための手続きなどが挙げられます。

このような場合に活用するのが、別規程です。

就業規則本体には「介護休業関係制度の詳細については、別に定める介護休業規程によるものとする」という一文を設け、介護支援取組助成金に対応するための内容をすべて別規程である「介護休業規程」に記載すれば良いのです。

さまざまな助成制度に対応するために、その都度就業規則を変更するのは得策ではありません。
別規程を活用し、少しでも助成制度を利用するための手間を省いていきましょう。

 

助成金をもらいたい!就業規則でやるべきこと

助成制度には、就業規則、そして別規程の存在が重要となることがお分かりいただけましたでしょうか。

ここからは、助成制度を実際に利用するために就業規則を整備した会社の例を挙げながら、整備のポイントについて紹介します。
重要な部分は文字の色を変えてあります。ぜひ参考にしてみてくださいね。

とあるネイルサロンを経営する会社の例です。
この会社は、お店で働くネイリストのクオリティを高め、より良いサービスを提供することができるよう、「職場定着支援助成金」の活用を考えました。

職場定着支援助成金は、社内の雇用管理をより良く改善した会社が受けることのできる助成制度で、評価・処遇制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度という4項目ごとにそれぞれ10万円という助成金を受けることができます。
この会社では、そのうち、評価・処遇制度と研修制度の2項目に取り組むことにしました。

しかし、この会社は立ち上げて間もなく、労働者数は5人と小規模であったため、そもそも就業規則が存在しませんでした。
そのため、まずは就業規則の作成から開始することにしました。

本来は、就業規則を作成する場合は一つの項目ごとに入念に検討しながら作成を進めるべきものですが、労働条件などに特段変わった内容がなかったため、厚生労働省のホームページ内に存在するひな形をもとに、必要最低限の項目のみ定めました。

また、結婚式が多い時期などの繁忙期にはネイリストが残業をしていたため、36協定届の作成もあわせて行いました
残業の実態があるにもかかわらず36協定届の届け出ができていない場合は労働基準法違反となり、助成を受けることができない可能性があるためです。

就業規則が完成したところで、就業規則と36協定届を労働基準監督署へ届け出ました。
これは、助成制度を利用するために規則を作ったといわれないようにするために行っています。
いったん就業規則を届け出た上で、助成制度に対応するための規程を盛り込むことが本来の順序となるためです。

そして、次はいよいよ、助成制度に対応するために就業規則を整備する段階に入ります。

まずは、職場定着支援助成金に対応するために追加する「就業規則 改正案」を作成します。
以下でその内容を紹介します。それぞれ、条文の最後には別規程についての一文を入れてあることがポイントです。

第○条 評価・処遇制度
会社は、労働者の一定期間における業務成績及び能力の評価を行い、昇給、賞与、配置及び昇格、教育訓練の実施や公正な人事管理を行うため、別に定める「諸手当制度規程」に基づき処遇制度を実施する。

第○条 研修制度
会社は、業務に必要な知識や技能、資質の向上を図るため、別に定める「教育訓練規程」に基づき教育訓練を行うものとする。

そして、最後に「諸手当制度規程」と「教育訓練規程」を作成します。
ほとんどの助成制度では厚生労働省の発行するリーフレット内に、規程の作成例が掲載されているため、参考にすることができます。

 

紹介したケースはあくまでも一例となりますが、就業規則の定め方や別規程の設け方など、参考になる部分が多々あったかと思います。
就業規則をフル活用し、さまざまな助成制度に取り組んでみてはいかがでしょうか。
 

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