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2017.10.30

【AI×デザイン特別企画】既にデザイナーは絶滅の危機に?!事例から学ぶデザイナーの仕事の未来

【AI×デザイン特別企画】既にデザイナーは絶滅の危機に?!事例から学ぶデザイナーの仕事の未来

前回、3回に分けて紹介した『AI×デザイン』の未来。今回は、既にリリースされているAIを駆使したサービスに注目し、これからのデザイナーに求められる仕事、必要なスキルなど、AI時代に活躍できるデザイナー像について迫ります。

【AI×デザイン特別企画】
前編:ビジネスにおけるデザインのあり方と人工知能(AI)の本質とは?
中編:AI時代にクリエイターはどう生き残る?AIとデザインの未来
後編:AI×デザインの未来とは?米国の先行事例からのヒント

AIによる自動着色機能「Paints-Chainer」

今年1月、人工知能を使用し、ンラインで線画に自動着色できるPaints -Chainer(ペインツ チェイナー)というサービスがリリースされました。
このPaints-Chainerを開発したのは、AIの技術とIoTのビジネス活用を推進する日本企業、Preferred Networks。デザイン領域で画期的といわれたこちらのサービス。果たして今後のデザイナーの仕事にどのような影響をおよぼすでしょうか。

デザイナーの皆さんのなかには、pixiv Sketch(ピクシブスケッチ)というお絵かきアプリをご存じの方もいるでしょう。
お絵かきするだけでなく、それをオンラインでシェアし、他人の投稿した絵にコメントしたりお絵かきで返信したりできるコミュニケーションプラットフォームです。

https://sketch.pixiv.net

このアプリのWeb版において、2017年5月、前述したPaints-Chainerの機能が追加され、投稿した線画のイラストを自動で着色できるようになりました。
線で描かれたものが人の顔なのか衣服なのか、または背景なのかをAIが自動で認識し、ユーザーは「自動着色」ボタンを押すだけ。カラーパレットから色の指定を入力したり、着色後に色彩の調節を行うこともでき、陰影やハイライトなどの効果も入れられます。

“お絵かき”にとどまらず、実際のクリエイターの作業現場で、自分の描いた線画に着色する工程を機械にやってもらうということが、近い将来当たり前になるのではないか。この機能の追加により、業界ではそんな話題が起こりました。

 

AIが萌えキャラも創り出す時代

MakeGirlsMoeという、AIによるクリエイティブ革命を感じさせるサービスも、最近公開されました。http://make.girls.moe/

これは、Web上でアニメのいわゆる萌えキャラをAIが描くサービス。
髪型や目の色と形、笑っているかどうかといった表情など、キャラクターを作り出す上でのいくつかの条件を設定すると、AIがそれに合った新たなキャラクターをその都度、創り出して表示します。

このサービスの大きな特徴は、あらかじめ作成されたキャラクターの中から選択した条件に合ったものを抽出してくるようなものとは異なり、毎回新たなキャラクターが生み出されることです。
さらに、一定のアニメファンなどにも好意的に受け入れられているとのこと。

こうなると、ゲームのキャラクターなどは、デザイナーが一つ一つ作らなくても、AIに任せればよいという時代になるかもしれないと思いませんか?
また、あくまでも今回はキャラクターではありますが、今まではクリエイターが頭を悩ませ試行錯誤で作り出していたものを、とうとうAIが作るようになったということも、衝撃的な話です。

 

AI時代、デザイナーの仕事はどう位置づけられるか

以上の話は、先に出たPreferred Networks米国支社のCRO(Chief Research Officerの略)比戸将平氏が語ったものです。
アメリカ・シリコンバレーで、当地に進出している日本企業や起業しようとする日本人を支援する任意団体「Silicon Valley Japanese Entrepreneur Network(SVJEN)」が開催したセミナーの中で、紹介していました。

「AI最新動向及びIoTオポチュニティ」と題されたそのレクチャーは、現在のAI技術の最先端とIoTビジネスの話題が満載で、クリエイティブ業界もそれとは無関係ではないということが語られていました。
機械がある種のイラストを自動生成したり、自動着色したりするということになると、デザイナーの仕事は今後、どうなっていくのでしょう?

ここで、この【AI×デザイン特別企画】で取り上げたことのあるBtrax社のBrandon氏の話を思い出しましょう。

「AI×デザインの未来とは?米国の先行事例からのヒント」(https://www.web-creator.jp/career_lab/for_business/detail/id=918)では、AIをうまく活用することでクリエイティブの可能性が広がる一方、そのためにはデザイナーはAIなどの最新技術についての情報も常にキャッチしておく必要があるという話でした。
そして、「デザインとは課題解決の方法である」という考え方。ここに、AI時代のデザイナーのあり方についてのヒントがあるかもしれません。

BtraxのブログにBrandon氏が投稿しているほかの記事も併せて見てみましょう。

 

変化するデザイナーの仕事、求められるスキルチェンジ

・2015年4月投稿『デザインの未来を示す15の変化』http://blog.btrax.com/jp/2015/04/01/design-future/
15の項目のうちの11番目に「いままでデザイナーと呼ばれていた人たちの中で、そろそろ呼ばれ方が変わってくる役割が出てくるだろう」というものがあります。

イラストを描く仕事はデザイナーでなく「イラストレーター」に、Photoshopで印刷・Webデザインの画像編集を担当する人は「オペレーター」に、という具合。
デザイナーの仕事は「課題の解決」にあるため、そのデザインされたものに沿って指示通りに形にするという役割を担う人は、彼の言葉を借りると「オペレーター」、つまり作業員という位置づけになるでしょう。
そして、このような作業員の仕事は今後、機械に取って代わられる可能性があるのです。

日本では、グラフィックデザインにおいてデザイナーとDTPオペレーターの2職種が連携するケースがあります。このような体制も、上記に関わる話かもしれません。

・2016年8月投稿『デザイナーに必要なのはスキルアップではなくスキルチェンジ』
http://blog.btrax.com/jp/2016/08/28/designer-skills/
サンフランシスコでは「既にグラフィックデザイナーやWebデザイナーといった役職が絶滅の危機に瀕している」という衝撃の事実が取り上げられています。
そして、やはりここでも「デザイナーの役割は課題の解決」という姿勢が貫かれます。

製品や媒体の「見た目」を作るということにとどまらず、今後はUXデザイナーやプロダクトデザイナー、クリエイティブディレクター、ブランドマネージャーといった、デザイン思考でもってユーザーのニーズを捉え、それを製品やサービスに反映させ、さらにそれを世の中に広める方法を考える。
そんな、ビジネス全体にまたがって動くことのできるデザイナーが重要だと指摘されています。

だから「デザイナーは常に新しいスキルを身に着ける必要があり、それは現在のスキルの延長線上にはない可能性が高い。スキルアップではなく、スキルチェンジが必要になってくる」となるのです。

 

AIに負けないように、スキルチェンジをする?それとも、機械にはできないような、自分にしかできないクリエイティブ性をより強めていく?
いずれにせよ、新たな技術を武器に、新たな活躍の場を切り拓くこと。日本においても、デザイナーをはじめとしたクリエイター、そして制作会社にこの力が必要となる時代は近いでしょう。

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